1. リスクリワードレシオの基本
リスクリワードレシオ(以下、レシオ)とは 平均利益 ÷ 平均損失 で求められる数字です。例えば平均利益100pipsで平均損失100pipsのシステムであればレシオは1.0となります。
同様に平均利益200pipsで平均損失100pipsのシステムであればレシオは2.0となります。つまりレシオの数値が大きいと損小利大のシステム(手法)であり、レシオの数値が小さいと損大利小のシステム(手法)であるといえます。
2. ±0に必要な勝率を求める
±0に必要な勝率は以下の計算式で求めることが出来ます:
±0に必要な勝率 = 1 ÷ (1 + レシオ)
例えば、レシオが0.5の場合:
±0に必要な勝率 = 1 ÷ (1 + 0.5) ≒ 67%
以下に±0に必要な勝率の一覧を示します:
リスクリワードレシオ | ±0に必要な勝率 |
---|---|
2.0 | 33% |
1.0 | 50% |
0.5 | 67% |
3. ±0に必要なレシオを求める
±0に必要なレシオは以下の計算式で求めることができます:
±0に必要なレシオ = (1 – 勝率) ÷ 勝率
例えば、勝率が60%の場合:
±0に必要なレシオ = (1 – 60%) ÷ 60% ≒ 0.7
以下に±0に必要なレシオの一覧を示します:
勝率 | ±0に必要なリスクリワードレシオ |
---|---|
30% | 2.3 |
40% | 1.5 |
50% | 1.0 |
60% | 0.7 |
70% | 0.4 |
4. レシオと勝率のどちらを軸にするべきか
システムの優位性あるいは、手法の優位性を検証する際にレシオと勝率のどちらを軸にするべきかという問題が発生します。
私は勝率を軸にして確認した方が良いと思います。理由は以下の2つです:
- 勝率は取引回数が増えれば収束するから
- 相場のボラティリティーは日々変化しているから
1つ目の理由は、勝率は取引回数が増えれば増えるほど収束していきますので基準にしやすいという点です。大ざっぱに確認する場合でも取引回数が1000回程度あれば勝率はあらかた収束したと想定する事ができます。
2つ目の理由は、相場のボラティリティーは日々変化している為、一律に損切りを100pips、利確を100pipsと固定しても結局は±0の理論確率を超えることはできないと思うからです。相場のボラティリティーに合わせて損切りや利確の値幅を変化させる必要があります。
以上の2点の理由から私は勝率を軸にして±0に必要となるレシオを確認した方が良いと判断しています。
5. まとめ
レシオと勝率どちらを軸にするにしても、利益を出すには『レシオに対する±0に必要な勝率』あるいは『勝率に対する±0に必要なレシオ』を超えなければいけません。
ランダムトレードでは期待値はスプレッド分のマイナスに収束しますので、利益を出すにはランダムトレードでは出来ない何かをする必要があります。それは待つ事です。
- 統計的優位性のあるエントリーポイントまで待つ
- 統計的優位性のあるクローズポイント(決済)まで待つ
結局のところ、この2つが利益を出す為の全てです。統計的優位性があるかどうかはシステムあるいは手法を検証する際、取引回数が1000回以上あり勝率に対する±0に必要なレシオを超えていれば優位性があると判断する事が出来るでしょう。
EA名 | 取引回数 | 勝率 | レシオ | ±0レシオ | 差異 |
---|---|---|---|---|---|
リバ取り君 | 1432回 | 67% | 0.7 | 0.5 | +0.2 (133%) |
伸ばす君 | 2556回 | 28% | 3.2 | 2.6 | +0.7 (125%) |
※Lot0.1で2005.2.1~2015.2.1をバックテストした結果
リバ取り君の勝率67%で±0に必要なレシオは0.5です。バックテストの結果0.7という数値を出していますので、エントリーとクローズポイントに優位性があると判断できます。
同様に伸ばす君の勝率28%で±0に必要なレシオは2.6です。バックテストの結果3.2という数値を出していますのでこちらも優位性があると判断できます。