「利益があった以上、納税の義務があるので、やむを得ないと思っています。全面的に主張を認めてもらい感謝しています」。判決後、被告は大阪市内で記者会見した中村和洋弁護士を通じて心境を明らかにし、控訴しない方針を示した。 裁判資料によると、男性被告は会社員だった2004年以降、過去の戦歴データを加えた改良ソフトを使って着順を予想。会社が休みの土日に各地で開催されるレースのほぼ全てに賭けた。元手は約100万円。「なくなったらやめる」と思ったものの、05年に900万円▽06年に600万円▽07年に1億円▽08年に2600万円▽09年に1400万円――のもうけが専用の口座に積み上がった。 利益のうち約7千万円は株につぎ込み、08年のリーマン・ショックで消えた。確定申告の必要性を感じ、インターネットで調べると「外れ馬券の購入代金は経費と認められない」。納税総額が数億円に上ることが分かり、怖くなった。