今回は勝率とリスクリワードレシオの関係について解説させて頂きます。
目次
リスクリワードレシオ
リスクリワードレシオ(以下、レシオ)とは 平均利益 ÷ 平均損失 で求められる数字です。例えば平均利益100pipsで平均損失100pipsのシステムであればレシオは1.0となります。
同様に平均利益200pipsで平均損失100pipsのシステムであればレシオは2.0となります。つまりレシオの数値が大きいと損小利大のシステム(手法)であり、レシオの数値が小さいと損大利小のシステム(手法)であるといえます。
レシオを求めただけではシステム(手法)の優劣は判断できません。レシオに対して±0に必要な勝率を超えているかどうかを確認する必要があります。
例えばレシオが1.0の場合、勝率が50%で±0となります。もしレシオが1.0で勝率が50%未満であればトータルで損失を出しますし、逆に勝率50%を越えていればトータルで利益を出せます。
それではレシオに対する±0に必要な勝率を求めていきたいと思います。
±0に必要な勝率を求める(レシオが軸)
±0に必要な勝率は以下の計算式で求めることが出来ます。
±0に必要な勝率 = 1 ÷ ( 1 + レシオ )
※レシオ = 平均利益 ÷ 平均損失
この式を使ってレシオが0.5の場合、±0に必要な勝率を求めてみますと、
■±0に必要な勝率 = 1 ÷ ( 1 + 0.5 ) ≒ 67% となります。
つまりレシオ0.5で勝率が67%を超えていれば利益が出ていると言う事になります。
±0に必要な勝率一覧(レシオが軸)
以下が±0に必要な勝率の一覧となります。
リスクリワードレシオ
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±0に必要な勝率
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2.0
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33%
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1.0
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50%
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0.5
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67%
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それでは今度は、勝率を軸にして±0にするのに必要なレシオを求めてみたいと思います。
±0に必要なレシオを求める(勝率を軸)
±0に必要なレシオは冒頭の計算式を変形して以下の様に求めることができます。
±0に必要なレシオ = ( 1 - 勝率 ) ÷ 勝率
※レシオ = 平均利益 ÷ 平均損失
この式を使って勝率が60%の場合、±0に必要なレシオを求めてみますと、
■±0に必要なレシオ = ( 1 – 60% ) ÷ 60% ≒ 0.7 となります。
つまり勝率60%でレシオが0.7を超えていれば利益が出いてるという事になります。
±0に必要なレシオ一覧(勝率を軸)
以下が±0に必要なレシオの一覧となります。
勝率
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±0に必要なリスクリワードレシオ
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30%
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2.3
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40%
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1.5
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50%
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1.0
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60%
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0.7
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70%
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0.4
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レシオと勝率のどちらを軸にするべきか
システムの優位性あるいは、手法の優位性を検証する際に上記の様にレシオと勝率のどちらを軸にするべきかという問題が発生します。
私は勝率を軸にして確認した方が良いと思います。理由は以下の2つです。
-
勝率は取引回数が増えれば収束するから
-
相場のボラティリティーは日々変化しているから
1つ目の理由は、勝率は取引回数が増えれば増えるほど収束していきますので基準にしやすいという点です。大ざっぱに確認する場合でも取引回数が1000回程度あれば勝率はあらかた収束したと想定する事ができます。
参照記事
確率別の収束速度
二つ目の理由は、相場のボラティリティーは日々変化している為、一律に損切りを100pips、利確を100pipsと固定しても結局は±0の理論確率を超えることはできないと思うからです。相場のボラティリティーに合わせて損切りや利確の値幅を変化させる必要があります。
参照記事
効率的市場仮説の検証
以上の2点の理由から私は勝率を軸にして±0に必要となるレシオを確認した方が良いと判断しています。ちなみに冒頭の式は恒等式ですので、いろいろ変形させることができます。たとえば以下の様な計算式を求めることもできます。
PF1 = ( 1 + レシオ ) × 勝率
※レシオ = 平均利益 ÷ 平均損失 、 PF(プロフィットファクター) = 総利益 ÷ 総損失
恒等式なのでどれか1パターンの計算式を覚えておけばあとは変形させるだけなので便利です。
まとめ
レシオと勝率どちらを軸にするにしても、利益を出すには『レシオに対する±0に必要な勝率』あるいは、『勝率に対する±0に必要なレシオ』を超えなければいけません。
ランダムトレードでは期待値はスプレッド分のマイナスに収束しますので、利益を出すにはランダムトレードでは出来ない何かをする必要があります。
それは待つ事です。
待つにも以下の2種類があります。
-
統計的優位性のあるエントリーポイントまで待つ
-
統計的優位性のあるクローズポイント(決済)まで待つ
結局のところこの2つが利益を出す為の全てです。
統計的優位性があるかどうかはシステムあるいは手法を検証する際、取引回数が1000回以上あり勝率に対する±0に必要なレシオを超えていれば優位性があると判断する事が出来るでしょう。
EA名
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取引回数
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勝率
|
レシオ
|
±0レシオ
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差異 ()内%
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リバ取り君
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1432回
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67%
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0.7
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0.5
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+0.2(133%)
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伸ばす君
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2556回
|
28%
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3.2
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2.6
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+0.7(125%)
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※Lot0.1で2005.2.1~2015.2.1をバックテストした結果
リバ取り君の勝率67%で±0に必要なレシオは0.5です。バックテストの結果0.7という数値を出していますので、エントリーとクローズポイントに優位性があると判断できます。
同様に伸ばす君の勝率28%で±0に必要なレシオは2.6です。バックテストの結果3.2という数値を出していますのでこちらも優位性があると判断できます。