今回は偶然の無い世界について考えてみたいと思います。
この世は偶然の出来事に満ち満ちています。自分の方が実力が上なのに運が悪ければ、自分より実力が下の人に敗れる事も多々あります。とても不条理で不合理な世界です。
ではこの世から偶然という概念が無くなったらどうなるのでしょうか?
偶然の要素が無くなった世界を想像してみたいと思います。
目次
偶然の無い世界
実力のある人は必ず実力の劣る人に勝つ世界。逆にいえば実力の劣る人は絶対に実力のある人に勝てない世界。
どうでしょうか。偶然の無い世界は、とても退屈な世界だと私は思いました。
偶然の出来事があるからこそ、人々はそれに希望を抱き、希望を糧にして目標に向かって努力出来るのです。あるいは偶然起こった奇跡を皆で喜びそれを共有する事が出来るのです。
偶然の無い世界というのは希望を抱く事の出来ない何の面白味も無い世界だと私は思います。
偶然による実力のブレ
では具体的に偶然による実力のブレを見てみたいと思います。想像しやすい様に各実力をスポーツ戦における各チームの実力と想定してみて下さい。
実力平均0.0チームの偶然による実力のブレ
こちらが実力0.0のチームが偶然によって起こりうる実力のブレとなっています。
(平均0.0 標準偏差1 の正規分布)
実力は0.0ですが、運が悪ければ-4.0しか力が出せない事もあるし、逆に運が良ければ+4.0という力を出す事ができます。
この-4.0~+4.0の違いは何なのでしょうか?これがまさに偶然(運)なのです。
つまり実力は0.0なのですが、偶然の要素によってのこチームの実力は-4.0~+4.0の間にあると言えます。偶然の要素とはチームの士気であったり、選手の体調がこれにあたるでしょう。
この偶然(運)があるからこそ決着がつくともいえます。もし偶然(運)が無い場合、実力が0.0同士のチームが戦った場合永遠に決着がつかない事になります。
では次に実力平均2.0のチームの偶然による実力のブレを見てみたいと思います。
実力平均2.0チームの偶然による実力のブレ
こちらが実力2.0のチームが偶然によって起こりうる実力のブレとなっています。
(平均2.0 標準偏差1 の正規分布)
実力は2.0ですが、運が悪ければ-2.0しか力が出せない事もあるし、逆に運が良ければ+6.0という力を出すことが出来るというのが分かります。
では実力0.0のチームと実力2.0のチームが試合をした場合どうなるか見てみましょう。
実力0.0のチームが実力2.0のチームに偶然勝てる範囲
縦線がひいてある範囲が、実力0.0のチームが実力2.0のチームに偶然勝てる範囲となっています。
つまりこの範囲においては、どちらのチームが勝つか分からない実力の拮抗した状態という事になります。
通常、野球でもサッカーでもバレーでも勝負事において白熱するのはこのような実力が拮抗した状態であり、観客はこれを見たいが為に現地に足を運んでいるわけです。
チームの実力が違うのにこのようにどちらが勝つか分からない拮抗した状態になるのは、偶然という概念がある事の恩恵そのものです。
もし偶然という概念がなければ実力2.0のチームが必ず勝つ試合になるわけですから、面白味の全くない試合であり、誰も結果が分かっている試合を見たいとは思わないはずです。
それでは最後に奇跡という偶然を確認してみましょう
実力0.0のチームが実力6.0のチームに偶然勝てる範囲
縦線がひいてある範囲が、実力0.0のチームが実力6.0のチームに偶然勝てる範囲となっています。
まさに奇跡的な確率ではありますが、実力0.0のチームが実力6.0のチームに勝てる可能性があります。このようにお互いの実力が離れれば離れるほど偶然勝てる範囲も狭くなってきます。
おそらくこの試合を見ている人のほとんどが実力6.0のチームが勝つであろうと思って試合を観戦しているはずです。
例えば実力0.0のチームを高校生野球チーム、実力6.0のチームをプロ野球チームと置き換えると分かり易いかと思います。
誰も高校生野球チームが勝てるとは思っていないわけです。しかし、偶然が起こりうる確率が低ければ低い程それが実現した時の感動というのは大きくなります。つまり高校生野球チームが奇跡的に勝った場合、観客が大いに盛り上がる事が想像できます。
偶然の恩恵まとめ
偶然というのは時には不条理かつ不合理な側面もありますが、この様に人々に感動や喜びを与える上で非常に重要な概念である事が分かりました。
システムトレードにおいても同様で、システム本来の実力以上に運よく偶然勝つ事もあれば、運悪く偶然負けることもあります。
偶然というのは避けることの出来ない普遍的な事だということを理解したうえで、もし偶然運よく実力以上に勝てた場合は大いに喜べば宜しいかと思います。
逆に運悪く実力以上に負けた場合、悲しむ必要はありません。偶然負けただけなのですから気にしてもしょうがないです。切り替えていきましょう。
偶然という普遍的な概念を理解したうえで、自分の都合の良い方に解釈すればいいということになります。ポジティブシンキングで行きましょう。