受刑者の再犯について

日本の重大犯罪の再犯率に関するデータ

1. 重大犯罪別の再犯率

重大事犯者の再犯率は、犯罪の種類によって以下のように異なります[1]:

  • 殺人: 17%
  • 傷害致死: 33%
  • 強盗: 39%
  • 強姦: 39%
  • 放火: 26%

これらは出所後おおむね10年以内に再び禁錮以上の刑を受けた割合です。

2. 満期釈放者と仮釈放者の比較

満期釈放者の再犯率は仮釈放者よりも顕著に高いことが確認されています[2]:

  • 殺人: 43%
  • 傷害致死: 60%
  • 強盗: 56%
  • 強姦: 56%
  • 放火: 34%

特に傷害致死、強盗、強姦では満期釈放者の半数以上が再犯に及んでいます。

3. 同種重大再犯の再犯率

同じ重大犯罪を再び犯す割合は以下の通りです[2]:

  • 殺人: 0.8%
  • 傷害致死: 3.9%
  • 強盗: 8.3%
  • 強姦: 9.4%
  • 放火: 7.5%

強姦の場合、性犯罪全体で見ると再犯率は17%に達しています。

4. 再犯までの期間

重大事犯者の再犯リスクは長期間にわたり続きます。出所後10年以内に再入所した者のうち、6年以上経過してから再入所する割合は以下の通りです[2]:

  • 殺人: 23%
  • 傷害致死: 27%
  • 強盗: 21%
  • 強姦: 26%

長期的な再犯防止策が必要であることが示唆されます。

5. 再犯要因と改善案

社会復帰の困難さ

  1. 支援の不足: 仮釈放者と比べ、満期釈放者は継続的な支援を受けにくい状況です[3].
  2. 社会適応の課題: 長期の収監後に社会の変化に適応できない場合があります。

個人的要因

  1. 改善意欲の低さ: 改悛の状が認められず、更生への意欲が低い可能性があります[2].
  2. 身元引受人の不在: 社会復帰後の受け入れ先がないことが課題です[2].

制度的問題

  1. 保護観察の欠如: 満期釈放者は仮釈放者と異なり、釈放後の監督を受けません[2].
  2. 「仮釈放のジレンマ」: 更生が難しい者ほど満期釈放され、指導が行き届きません[2].

犯罪特性

重大犯罪特有の高い再犯リスクが長期間続くことが確認されています[1].

6. まとめ

満期釈放者の高い再犯率は、支援の不足、制度的課題、個人的要因が複合的に作用していると考えられます。再犯防止には、以下のような取り組みが必要です:

  • 継続的な支援と監督体制の整備
  • 社会復帰プログラムの充実
  • 個別の更生支援計画の策定

これらの取り組みによって、再犯防止と安全な社会の実現が期待されます。

参考文献

[1] 法務省 白書

[2] 日本犯罪学会 論文

[3] 内閣官房 政策資料

[4] 日本財団 報告書

[5] 関西大学 出版物

[6] リディラバジャーナル

[7] 厚生労働省 報告

[8] 法務省 報告書