主にインターネットを介した通信販売において、ニッチ商品の販売額の合計が、ヒット商品の販売額の合計を上回るようになる現象。
市場に出回る商品の2割(ヒット商品)が、全体の8割の売上げを稼ぎ出すという、20-80の法則に従う既存の店舗販売の収益構造とは対極をなす。
売り場面積や在庫スペースなど、物理的な制約の多い小売店と異なり、無限ともいえる「売り場スペース」を持てるネットビジネスでは、少量多品種の商品を容易に扱える。実在庫は持たずに商品をデータベース上にのみ登録する、あるいは地代の安価な場所に在庫スペースを設ける、などの工夫によって流通コスト・在庫コストを低減することも可能であり、これによって、ニッチ商品を数多く集めることで、ヒット商品の大量販売に依存することなく収益を上げるビジネスモデルの構築が可能となった。
ロングテールの「テール」は動物の尾を指す。販売数量順に並べたパレート図を描くと、ヒット商品が恐竜の長い首(ヘッド)、ニッチ商品が長い尾(テール)に見えることから名づけられた。2004年10月に、当時、米国WIRED誌の編集長であったChris Anderson氏が、自筆の記事「the Long Tail」の中で、オンライン書店Amazon.comやDVDレンタル店Netflixの成功を説明するために使ったのが最初で、ロングテール効果、ロングテール論とも呼ばれる。
Web 2.0
読み方:ウェブ ニーテンレイ,ウェブ ニーテンゼロ,ウェブツーポイントオー
別名:ウェブ2.0,Web2.0
Web 2.0とは、従来Web上で提供されてきたサービスやユーザー体験とは一線を画する、新しい発想によって捉えられた、技術、サービス、デザインパターン、ビジネスモデル、Webのあり方などの総称である。
Web 2.0という表現は、ティム・オライリー(Tim O’reilly)らによって提唱された。ソフトウェアのバージョンアップでよく用いられる数字表記によって、従来のWebのあり方を暗に「Web 1.0」と規定しつつ、Web 2.0はWeb 1.0とは連続しながらも質的に異なる概念であるというニュアンスを表現している。2000年中盤以降、Web 2.0は、Webにおける新たな潮流を象徴する代表的なキーワードとして度々言及されており、「Web2.0 Summit」や「Web2.0 EXPO」なども開催されるに至っている。
「Web 2.0」という言葉や概念については、特に明確な定義づけがなされているわけではない。また、特定の規格や標準があるわけでもない。端的な説明としては、おおむね「動的・双方向的」であるとか、「ユーザー参加・集合知」、「ロングテール的」などといった要素が指摘される場合が多い。あるいは、従来のWeb 1.0ではPCをプラットフォームとしてWebに接続していたが、Web 2.0ではWebそのものがプラットフォームとなって諸々の機能やサービスを提供する、と解釈されることもある。
ティム・オライリーが2005年9月に発表した、Web 2.0の嚆矢とも言える『What Is Web 2.0』(Web 2.0とは何か)では、Web 2.0を特徴づける要素として次の事項が挙げられている。
- ユーザーの手による情報の自由な整理(Folksonomy)
- リッチなユーザー体験(Rich User Experiences)
- 貢献者としてのユーザー(User as contributor)
- ロングテール(The Long Tail)
- ユーザー参加(Participation)
- 根本的な信頼(Radical Trust)
- 分散性(Radical Decentralization)
Web 2.0の特徴 (1) – ユーザーの手による情報の自由な整理(フォークソノミー)
従来のWebでは、Yahoo!ディレクトリやDMOZなどのように情報をディレクトリ型に配置することで情報の整理を行ってきた。これに対してWeb 2.0では、ユーザーの手によって、既存の分類の枠組みにとらわれることなく、自由に情報の分類・配置が行われる。これを実現する手法としてはソーシャルタギングなどがある。
主な例としては、写真共有サイトのFlickrや、ソーシャルブックマークのdel.icio.usなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (2) – リッチなユーザー体験
従来のWebでは、WebサイトはもっぱらHTMLやCSS、CGIなどによって構成され、静的なページとして提供されていた。これに対してWeb 2.0では、Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)に代表される動的・双方的な技術を用い、斬新でリッチな操作体験を提供する。
主な例としては、Googleが提供しているGoogle MapsやGoogle Suggest、Gmailなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (3) – 貢献者としてのユーザー
従来のWebでは、情報を提供する側からユーザーへと一方向的に情報が提供されており、ユーザーはあくまで情報の受け取り手であるに過ぎなかった。これに対してWeb 2.0では、ユーザーによる評価やレビューが新たな情報として価値を生み出し、コンテンツの形成に貢献していく。
主な例としては、Amazon.comのカスタマーレビューや、Googleのページランクの仕組みなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (4) – ロングテール
従来の小売ビジネスでは、売れている上位20%の商品が収益全体の80%を売り上げるという「80:20の法則」に従っていた。これに対してWeb 2.0では、あまり売れていない80%の商品がニッチな需要に応えることによって、ビジネスが成立している。
主な例としては、Amazon.comやGoogle AdSenseなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (5) – ユーザー参加
従来のWebでは、
情報(コンテンツ)はもっぱら情報提供者側のみによって作成されていた。これに対してWeb 2.0では、コンテンツの制作にユーザーが積極的に関与する、あるいはメインのコンテンツをもっぱらユーザーが作成することで、サービスそのものを成立させることができる。
主な例としては、SNSをはじめとする各種のソーシャルメディアを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (6) – 根本的な信頼
従来のWebでは、配信される情報や技術の知的財産権は管理・保護されるべきであるという志向をもっていた。これに対してWeb 2.0では、情報を享受する側にコンテンツの利用や応用、場合によっては改変も認めるという、根本的な信頼が寄せられている。このため、Web 2.0は、人間の知的営みを共有し、さらにそれを相互に発展させていこうとする志向をもっていると言える。
主な例としては、Wikipedia、OSS(オープンソースソフトウェア)、クリエイティブコモンズなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (7) – 分散性
従来のWebでは、サービスやコンテンツは、ポータルサイトから各Webサイトのトップページにアクセスするように、特定の窓口やアクセス経路が存在していた。これに対してWeb 2.0では、ロボット型検索エンジンやパーマリンクの仕組みによってどこへでも直接アクセスすることが可能である。また、データや処理負荷を各エンドユーザーのPCに任せることによって負荷分散やファイルの共有を行うことができる。
主な例としては、BitTorrentなどのファイル共有ソフトや、Webサービスを利用したマッシュアップなどを挙げることができる。
『What Is Web 2.0』における「Web 1.0」と「Web 2.0」との比較
Web 1.0 | Web 2.0 | |
DoubleClick | –> | Google AdSense |
Ofoto | –> | Flickr |
Akamai | –> | BitTorrent |
mp3.com | –> | Napster |
ブリタニカオンライン | –> | Wikipedia |
個人のWebサイト | –> | ブログ |
evite | –> | upcoming.org、EVDB |
ドメイン名取得 | –> | SEO |
ページビュー | –> | クリック単価 |
スクリーン・スクレイピング | –> | Webサービス |
パブリッシング | –> | 参加 |
CMS | –> | ウィキ |
タクソノミー(分類学) | –> | フォークソノミー |
特定のWebサイトへの執着 | –> | Webサイトの垣根を越えた連携 |