◇住所を打ち込むだけで町並みの画像がネットで見られるGoogleの人気サービス「ストリートビュー」。
同社はこのサービス向けの撮影車で、無線LANの電波を利用して位置情報を収集。別のサービスの精度向上に役立てていた。ところが、暗号で保護されていない通信本文も誤って収集していたことが判明、昨年5月に公表して謝罪した。日本を含む34カ国・地域で、収集地点で送信されたメール本文や、ID、パスワードなどの情報が含まれていた可能性があるという。
◇誰でも傍受が可能 Googleが収集していた無線LANの基地局情報は、スマートフォン(多機能携帯電話)向けの「位置情報」を使ったソフトなどにも利用されている。現在地からの道案内や紛失した端末を探すサービスなどは人気。位置を特定するのにGPSや通信各社の携帯電話用基地局情報が使われるが、それだけでは精度が保てないため、個人が使っている無線LANの情報なども併用されることがある。電波は10ー100m届くため、その範囲内では誰でも電波の受信が可能。
さらに、使っている機器の種類、通信速度、暗号化の方式などとともに、通常は通信内容も記録されてしまう。データは断片化されており、通常は暗号化されているため、そのままで意味を読み取ることはできない。
しかし、暗号化されていないデータを読める形に「復元」するツールはネット上で無料で公開されており、「無線LANに接続できるパソコンがあれば可能で、特別な装置は必要ない」という。メールの送信先、内容、閲覧しているウェブサイトなど、他人がネットで送受信している内容は、いわば、誰でも「傍受」できる状況といえる。
スマホには、3G通信、Bluetooth、WiFi(無線LAN)の通信環境がサポートされているが、百m以内の無線LAN通信も受信して位置把握に役立てる。と同時に、己の存在位置も通信事業者に筒抜けとなる。
ここで無線LAN利用者に知識があれば、PCの個人情報を解読することが可能である」ということだ。必要な情報だけを取り入れるのでなく、撮影車が取得可能な全無線LAN情報を入手・記録していたGoogle社に対し警告は発せられたが、電気通信事業法がザル法なので「得た通信内容を公開せず悪用もしていません」と開き直られると、現状ではそれ以上その企業を追求できない。