今回もトレード結果に対してLot数を変化させる事の無意味さを検証していきたいと思います。前回の記事までで以下の4パターンを検証しトレード結果に対してLotを変化させても優位性があるとはいえない事を確認しました。
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Lot変化① = トレード結果が負けだった場合、次トレードはLotを2倍にする。
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Lot変化② = トレード結果が勝ちだった場合、次トレードはLotを2倍にする。
Lotは固定した方が良い理由
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Lot変化③:負ける度に次トレードのLotを初期Lot分増やす
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Lot変化④:勝つ度に次トレードのLotを初期Lot分増やす
Lotは固定した方が良い理由その2
今回はもっと細かくLotを上下に可変させた場合どういう期待値分布になるのを検証していきたいと思います。具体的には下記6パターン(Lot可変①~⑥)をこれから検証していきます。
検証パターン
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勝った場合
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負けた場合
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Lot可変①
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-1枚
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+1枚
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Lot可変②
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+1枚
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-1枚
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Lot可変③
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-2枚
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+1枚
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Lot可変④
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+1枚
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-2枚
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Lot可変⑤
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-1枚
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+2枚
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Lot可変⑥
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+2枚
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-1枚
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目次
Lot固定(勝率50%、PF1のシステム)の期待値分布
まずLot可変①~④のベンチマークとなるLot固定(18万通貨)と、Lot可変⑤~⑥のベンチマークとなるLot固定(17万通貨)の期待値分布がこちらになります。
※試行回数10回を1000セット実施した時の1セット当たりの期待値分布
Lot固定(18万通貨)の期待値分布 ※勝率50%、PF1、スプレッド0
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
Lot固定(17万通貨)の期待値分布 ※勝率50%、PF1、スプレッド0
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
2つ共に期待値0円付近(-756円と+306円)を頂点とした正規分布になっている事が確認できます。このLot固定の分布をベンチマークとして、Lotを可変させた場合の分布と比較し、Lotを可変させる事に優位性があるのか検証していきたいと思います。
Lot可変①の期待値分布(勝ったら-1枚、負けたら+1枚)
Lot可変① = トレード結果が勝ちだった場合-1枚、負けだった場合+1枚にLotを可変させる
※初期Lotを18万通貨として、トレード結果に応じて±1枚させる。
(最小Lot=9枚、最大Lot=27枚、平均Lot=18枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変①の分布となっています。Lot固定の分布(青色)とほぼ同じ形をしていますが、マイナス側の曲線が歪んでしまっています。
期待値平均も0付近(-276円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
Lot可変②の期待値分布(勝ったら+1枚、負けたら-1枚)
Lot可変② = トレード結果が勝ちだった場合+1枚、負けだった場合-1枚にLotを可変させる
※初期Lotを18万通貨として、トレード結果に応じて±1枚させる。
(最小Lot=9枚、最大Lot=27枚、平均Lot=18枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変②の分布となっています。Lot固定の分布(青色)とほぼ同じ形をしていますが、プラス側の曲線が歪んでしまっています。
期待値平均も0付近(+440円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
Lot可変③の期待値分布(勝ったら-2枚、負けたら+1枚)
Lot可変③ = トレード結果が勝ちだった場合-2枚、負けだった場合+1枚にLotを可変させる
※初期Lotを20万通貨として、トレード結果に応じてLotを可変させる。
(最小Lot=2枚、最大Lot=29枚、平均Lot=18枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変③の分布となっています。Lot固定の分布(青色)と比べると、山がつぶされて平たくなり、分布の幅が広くなっていることが分かります。
Lot固定の場合よりも偶然(運)による振れ幅が大きい=リスクが大きくなってしまっているという事を表しています。期待値平均も0付近(-583円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
Lot可変④の期待値分布(勝ったら+1枚、負けたら-2枚)
Lot可変④ = トレード結果が勝ちだった場合+1枚、負けだった場合-2枚にLotを可変させる
※初期Lotを20万通貨として、トレード結果に応じてLotを可変させる。
(最小Lot=2枚、最大Lot=29枚、平均Lot=18枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変④の分布となっています。Lot固定の分布(青色)と比べると、こちらも山がつぶれて平たくなり、分布の幅が広くなっている事が分かります。
Lot固定の場合よりもリスクが大きくなってしまっており、期待値平均も0付近(-470円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
Lot可変⑤の期待値分布(勝ったら-1枚、負けたら+2枚)
Lot可変⑤ = トレード結果が勝ちだった場合-1枚、負けだった場合+2枚にLotを可変させる
※初期Lotを15万通貨として、トレード結果に応じてLotを可変させる。
(最小Lot=6枚、最大Lot=31枚、平均Lot=17枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変⑤の分布となっています。Lot固定の分布(青色)と比べると、こちらも山がつぶれて平たくなり、分布の幅が広くなっている事が分かります。
Lot固定の場合よりもリスクが大きくなってしまっており、期待値平均も0付近(+649円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
Lot可変⑥の期待値分布(勝ったら+2枚、負けたら-1枚)
Lot可変⑥ = トレード結果が勝ちだった場合+2枚、負けだった場合-1枚にLotを可変させる
※初期Lotを15万通貨として、トレード結果に応じてLotを可変させる。
(最小Lot=6枚、最大Lot=31枚、平均Lot=17枚)
※縦軸=該当システム数 横軸=金額(円)
赤の線がLot可変⑥の分布となっています。Lot固定の分布(青色)と比べると、こちらも山がつぶれて平たくなり、分布の幅が広くなっている事が分かります。
Lot固定の場合よりもリスクが大きくなってしまっており、期待値平均も0付近(-565円)でLot固定の場合と比べても特に優位性があるとはいえない事が確認できます。
まとめ
最後に乱数を変えて分布がどうなるか確認しましょう。
期待値分布(Lot固定 vs Lot変化) その3
この様に乱数を何度変えてもトレード結果に応じてLotを変化させる事に優位性があるとはいえない事が分かります。
様々なパターンを検証してきましたが、結局のところLot固定より優位性があるパターンはありませんでした。なぜこのような結果になるのでしょうか?
それはトレードの勝った負けたという結果は偶然の産物に過ぎないからです。偶然起こった結果に対してLotを変化させたところで統計的優位性は無いという事が今回証明されました。
優位性が無いだけではなく正規分布の形が左右対称では無くなり、リスク管理が難しくなってしまいます。つまりLotは固定した方がリスク管理しやすいといえるでしょう。
一言でいうと シンプル IS ベスト でしょうか。