高峯駆(たかみねかける)


東京都渋谷区の歯科医、武藤衛さん(62)方で長女の短大生、亜澄(あずみ)さん(20)の切断遺体が見つかった事件で、亜澄さんの遺体から頭髪と胸部、下腹部が切り取られていたことが分かった。死体損壊容疑で逮捕された次兄の予備校生、勇貴容疑者(21)は胸部などについて「流し台のディスポーザー(生ごみ処理機)で処分した」と供述している。性別などの判別を困難にする工作と取れる半面、激しい恨みを示す行為ともみられ、警視庁捜査1課は理由を追及している。
 調べによると、亜澄さんの遺体は十数個に切断され、四つのポリ袋に入れられて勇貴容疑者の自室のクローゼットなどに隠されていた。ほとんどが関節部分で切断されていたが、胸部と下腹部が切り取られていた。また、頭髪は短く切られていた。勇貴容疑者は、切断した遺体を「後で捨てるつもりだった」と供述している。切断に使ったのこぎりと文化包丁は洗い、返り血を浴びた着衣は洗濯したという。
 また、殺害状況については「頭を殴ったが、気絶した後で起き上がったので首を絞めた」と供述している。遺体には水死の形跡もあり、捜査1課は、激しく暴行した後で亜澄さんを浴室に運び、水を張った浴槽に頭を沈めた可能性があるとみている。
 同課は5日午後、勇貴容疑者を同容疑で送検した。


東京都渋谷区の歯科医師武藤衛さん(62)宅で、長女の短大生亜澄(あずみ)さん(20)の切断された遺体が見つかった事件で、二男の予備校生、勇貴容疑者(21)は、洗面所で顔を洗っていた亜澄さんを木刀で殴っていたことがわかった。

 亜澄さんはその後、ひものようなもので首を絞められていたことも判明。勇貴容疑者が、妹の亜澄さんからなじられた後、いったん自室に戻って複数の凶器を準備していることから、警視庁捜査1課と代々木署は、初めから殺害しようと思って亜澄さんを襲ったとみている。

 供述によると、勇貴容疑者は先月30日午後3時ごろ、2階の居間でテレビを見ていた亜澄さんに「私には夢があるが、勇君には夢がない」などとなじられた。その後しばらくしてから、3階の自分の部屋に戻って木刀を持ち出し、同じ階の洗面所で顔を洗っていた亜澄さんを背後から数回殴ったという。

ダメ、日大歯学部多浪

東京都渋谷区の歯科医、武藤衛(まもる)さん(62)宅で長女の短大生、亜澄(あずみ)さん(20)の切断遺体が見つかった事件で、警視庁捜査1課と代々木署は4日、兄の予備校生、勇貴(ゆうき)容疑者(21)を死体損壊容疑で逮捕した。「妹から『夢がない』となじられ、かっとなって殺した」と殺害も認めている。
 調べでは、勇貴容疑者は12月30日午後3時ごろ、自宅で亜澄さんの遺体の頭部、両肩、腹部、両足などを自宅にあった文化包丁とのこぎりで切断した疑い。遺体は関節部分で十数個に切断し、4つのポリ袋に入れ、自宅3階の自分の部屋のクローゼットや物入れに分けて隠していた。室内の血痕はふき取っていた。
 勇貴容疑者は調べに対し、「『私には夢があるけど、勇君(勇貴容疑者)には夢がないね』となじられ、頭にきて殺した」と供述。亜澄さんは当時、勇貴容疑者に対して「私は勉強しているから夢が持てる。(勇貴容疑者は)しっかり勉強しないから夢がかなわない」との趣旨のことを話したという。切断した遺体については「後で捨てるつもりだった」と供述しているという。
 武藤さん方は、双方とも歯科医の両親と大学歯学部生の長男(23)、二男の勇貴容疑者、亜澄さんの5人暮らし。勇貴容疑者は、千代田区にある予備校の歯学部受験コースに通っていた。
 母親は12月30日昼、長男と一緒に東北地方に帰省のため自宅を出る際、「後で来なさい」と亜澄さんに話しており、勇貴容疑者は母親らの出発直後に殺害したらしい。武藤さんは30日夜に外出先から帰宅、31日深夜に帰省したが、遺体に気づいたのは帰省先から戻った翌日の3日夜だった。事件発覚を逃れるため、勇貴容疑者は武藤さんに「友達からもらった観賞用のサメが死んだ。部屋に置いてあるが、においがしても開けないで」と言っていたという。
 勇貴容疑者は12月31日から今月11日までの予定で神奈川県で開かれた予備校の合宿に参加。家族とは別に過ごしていた。捜査1課は4日未明、合宿先から勇貴容疑者に同行を求め、事情聴取。追及したところ事件への関与を認めた。
 ◇歯科一家、同じ道目指し浪人
 近所の人によると、武藤さん方は夫妻とも歯科医で、父親の代から地元で開業している。長男は大学歯学部に通い、勇貴容疑者も同じ道を目指していた。
 勇貴容疑者は東京都内の中高一貫私立校を卒業後、私大の歯学部を受験するために医歯学系予備校に通っていた。年齢的には3浪に当たる。予備校は、入学費と授業料が約300万円で、年末からの合宿も約60万円と高額だった。
 近所の無職の男性(65)は「中学のころに『いい学校に入らなければならないんだ』と話すなど勉強に悩んでいる様子が気になった。最近は、頑張れよ、と声をかけたらニコニコ笑っていたし、兄妹の仲が悪いとも聞いたことがない」と複雑な表情だった。
 別の60代男性は「武藤さん夫妻は腕のいい歯科医で、奥さんは数年前、『長男が歯学部に受かった』とうれしそうに言っていた」と、勇貴容疑者への期待をうかがわせる話をした。
 予備校の理事長は「おとなしく、まじめにやっていた。あいさつもしっかりでき、宿題を忘れた時は申し訳ないと自分から担任に謝りに行く生徒だった。合宿中に体調や精神面で変化があれば気づくはずだが、普段と変わらなかったと聞いている。とても信じられない」と肩を落とした。

サダム・フセイン

バグダッドのイラク高等法廷は5日、シーア派住民148人を殺害したとして人道に対する罪などに問われていた元大統領サダム・フセイン(69)に対し、求刑通り死刑判決を言い渡した。

 人道に対する罪で元国家元首が断罪されるのは史上初。同国の刑事訴訟法では極刑判決の場合、自動的に上訴審が開かれる。死刑が確定すればフセインは絞首刑に処せられる。判決によると、フセインらは、1982年にドゥジャイル村で起きたフセイン暗殺未遂事件を受け村民148人に対する報復殺害を命じた。

 2005年10月19日の初公判以来、1年余りでのスピード判決となった。

 イラク戦争で03年にフセイン政権が崩壊するまで、30年余りにわたってイラクを支配してきた「独裁者の犯罪」に対する最初の判決となる。
(読売新聞)


イラク中部ドゥジャイルのイスラム教シーア派住民148人を殺害した「人道に対する罪」で死刑が確定していた同国元大統領サダム・フセイン(69)に対し、絞首刑による死刑が30日午前6時(日本時間同日正午)ごろ執行された。


 同国国営テレビが伝えた。約30年にわたり同国を強権支配、2003年のイラク戦争で政権の座を追われた独裁者は、自国民の手で裁かれ、「罪人」として刑死した。


 マリキ政権は処刑で求心力回復を期待するが、旧政権残党などの報復攻撃が激化、治安がさらに悪化する懸念もある。


 フセインは、軍などのクーデターでバース党政権が誕生した翌年の1969年、最高意思決定機関「革命指導評議会」副議長に就任して実権を掌握し、79年に大統領に就任した。イラン・イラク戦争(80~88年)やクウェート侵攻(90年)を指揮。国内では、政敵や反体制勢力を力で徹底排除・弾圧する恐怖政治を敷いた。米軍主導のイラク戦争で03年4月に政権は崩壊、同年12月、出身地のティクリート郊外の潜伏先で米軍に拘束された。


 検察当局は、82年にドゥジャイルで起きたフセイン暗殺未遂事件を受けて住民を殺害した罪でフセインらを起訴。05年10月にイラク高等法廷で1審が始まり、06年11月5日、死刑判決が下された。続く上訴審が12月26日に1審判決を支持、死刑が確定した。


AP通信によると、イラクのルバイエ国家安全保障担当顧問は30日、死刑の際のサダム・フセイン元大統領(69)の様子について、すべてを委ねた様子で抵抗することなく刑に臨んだ、と述べた。

  これは、国営テレビのイラキーヤに語ったもので、元大統領は、手錠をかけられたまま、死刑執行室に到着。判事が判決文を読み上げた。元大統領は、何も求めなかったが、イスラム教の聖典コーランを持っていたという。元大統領が、執行室に立った時点から、写真撮影とビデオ撮影が始まったようだ。

  ルバイエ顧問は、「サダムの死刑は、イラクが100%執行したもので、米国側が干渉することはなかった」と述べた。

  また、死刑に立ち会ったマリキ首相の政治顧問アスカリ氏によると、元大統領は、死刑執行のため、米軍の敷地内にある収容所から出される際、もがく様子も見られたが、最期の瞬間は落ち着いていたという。元大統領は、刑に臨む際、囚人服ではなく、ジャケットにズボン、帽子、靴を履いていた。色はすべて黒だったという。

  死刑直前、元大統領は、帽子を脱がされ、最後に何か言うことはないか、と問われたが、「何も言いたくはない」と述べたという。しかし、元大統領は、首にロープを巻かれる前に、「神は偉大なり。この国家は勝利するだろう。パレスチナはアラブのものだ」などと叫んだという。

  アスカリ氏によると、イラク政府は、元大統領の遺体をどうするのかについてはまだ決めていないとしている。


【カイロ30日時事】イラク中部のイスラム教シーア派の宗教都市クーファの市場で30日、自動車爆弾が爆発、ロイター通信によると30人が死亡、45人が負傷した。
 爆発があった市場は、イスラム教の犠牲祭を前に買い物する人々で混雑していた。
 クーファは、シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師派の拠点の1つ。爆発はフセイン元イラク大統領の死刑が執行されてから数時間後に発生しており、これに反発した元大統領を支持するスンニ派武装勢力による犯行の可能性がある。

純減

地方公務員の総数は4月現在、299万8402人で、前年比4万3720人(1・4%)純減したことが26日、総務省の調査でわかった。

 1975年の調査開始以来、最大の純減幅で、総数は30年ぶりに300万人を割った。

 地方公務員数は、94年の328万2492人をピークに12年連続で純減した。政府は行政改革の一環として、10年度までの5年間で5・7%(17万3400人)純減することを目標にしている。今回は初年度としてこれを上回るペースで、総務省は「自治体の行革への真剣な取り組みがうかがえる」としている。

 職員の部門別では、警察は1・2%増、消防も0・4%増加したのに対し、一般行政部門は2・1%、公営企業等会計部門は2・8%純減した。

視聴者としての立場

この江戸川乱歩賞「破線のマリス」が映画化されるときの
原作者、野沢 尚氏のコメント

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「映画化にあたって」野沢 尚 
Message from Hisashi Nozawa

  この原作小説が出版された時、「テレビ界の内部告発小説」
 とよく言われた。
 それは間違っている。私に告発したい相手がいるとしたら、
 それはテレビの作り手ではなく、 視聴者の方だ。

 報道被害をはじめとするテレビから垂れ流しにされる情報を、

 視聴者はこれまで、あまりにも無感覚で受け止めてきた。
 過剰な映像処理や劇的な音付けに簡単に騙されてしまう。
 
 大衆心理の操作など、この物語のヒロインのように、
 指先一つの映像編集で可能なのだ。
 

 だからテレビの情報を信じてはいけない。疑ってかかれ。

  それは、テレビ界の人間でもある私からの、切なる願いでもある。
 簡単には騙されない視聴者がいてこそ、作り手に緊張感が生まれ、
 テレビは成熟の時代を迎えるのではないか。
 この映画が、報道被害をはじめとする様々な問題に揺れるテレビ界を突き刺し、
 その向こう側にいる視聴者を、強烈に揺さぶってくれることを祈っている。