嫌われ松子の一生 感想

嫌われ松子の一生 山田宗樹


主人公が落ちていくストーリーなので、久しぶりに途中で読む気がなくなりました。
何故、人気が出たのか?映画化、ドラマ化でしょうか。
とりあえず、残酷性、濡れ場をふんだんにってのが印象でした。
劇の見せ場の基本ですからねwww。
松子がなぜ、こんなに落ちぶれていくかわからないと他のレビューには書いてありましたので、その辺で感じたことを。
一部では、要するに、松子という人物は高学歴で(この時代、女性で国立出ですから)自分の中で優秀だという、父親に見てもらうために優秀であったという自負があり、周りに見下されたくないというタイプなのでしょう。(数学教師に対する態度しかり)

だからこそ、最初に教師として失敗していくわけですが。実際、こういうタイプは多いと思います。自分の中だけで解決したつもりで、行動し、うまくいかないという。実践が足りないんでしょうけど。
だから、同僚から金を取り(このあたりでも自分より下に見ている人物がお金をたくさん持っているのが気に入らなかった)
そして、プライドで(H本に気を取られているような下賎な人物には)本当のことを話し出せなかった。
生徒に学校を追い出される形になるわけですが、当時の松子は自身の保身しか考えられない人物だったのでしょう。


二部では、いきなりソープで働こうとするとこから始まるわけですが、正直えーーと思いました。プライドの高い人物のイメージでしたから。
しかし、学歴に偏重する人間は自分より上の学歴の人を人物的にも優れていると思いがちですから。
男の言うことを聞くようになってるのも仕方ないことかなと、初めての男になるわけですし。あと、実際こういう暴力を振る、いわゆるダメ男から離れられない女性は結構いるそうです。何でも、暴力振るった後がとても優しいからなんだとか。
この男も忠実にそのタイプですね。


トルコ風呂に関しては時代が少し早いですね、昭和47年では。
ソープ嬢になり、ナンバーワンになったが、経営者がかわり、店の経営方針がかわり、人気が落ちていったことで、滋賀へ。
滋賀で働くようになってからは、よくある話。金の勘定を人に任せちゃいかん。
金を使い込んでたヒモを殺害し、東京で入水しようとして、床屋に拾われ、警察に捕まる。出所し、美容院で働く、中学の教え子と同棲~


男ができると、仕事に精が出るタイプと男にのめり込むタイプがいる。誰かのためにしか松子は何かを頑張れなかった。
自分がない人間。それが答えかな。実際、いますけどね、こういう人は。
いい男に引っかかれば終わりも違っただろうと。


男がいても仕事を頑張れ、自分がある人間として、成功した女社長を。
最初に親の希望に添わず自分を通し理系を行った場合として、甥の彼女を描いたのかな。

夢を諦めるなてきなことが作者のメッセージとしてあるような気もしますが、作者は農学部を卒業後、研究員として農薬の研究をしながら小説を書いたそうですから、当時の思いもあったのでしょうか。